詩の日めくり 二〇二一年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
男は女の腕にカリウムの注射をして、彼女の癌を治した。ゆるやかな彫刻とは、盆栽のこと。さいごの一行に、ぼくがコレクションしている言葉があった。「きみの名前は?」(伊藤典夫訳)。

 8作目は、R・A・ラファティの「秘密の鰐について」秘密結社の「鰐の口」に関するさまざまな言説。いつものラファティ節が吹き荒れる。しっちゃかめっちゃかの記述。全体を把握するなんて無理。部分部分の言葉の感触を味わう感じで読み通した。才能なのかな。一種の散文詩のようなものと思えばよい。

 9作目は、ハーラン・エリスンの「冷たい友達」病院に入院していて死んだと思ったら、生き返った。どこにも人間の姿が見えなかった。しばら
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