自称詩人をやめなさい/花形新次
 
お前には何の価値もない
生きていることに意味はない
ただ食って寝るだけの
単なるニートで良かったのが
自称詩人になったため
マダニ級の厄介者になりやがった

自称詩人にだけはなるなよと
言っていた
父は怒り、母は泣き崩れ
「お前が自称詩人をやめないなら
お前を殺して俺たちも死ぬ」と
やっとのことで
絞り出した声にも
全く耳を傾けることなく
「それでも私は書いて行きます」
なんて中野重治の小説の主人公みたいな
セリフを吐いたは良いが
それを聞いていた
シニカルな妹に
「それでも書いて行くってほどのものかよ」
と爆笑された
哀れ、自称詩人よ
親兄弟に迷惑を掛ける前に
早くやめてしまいなさい





戻る   Point(2)