無題/ryinx
あの青い森のなかで、鳥達は囁き、
微かな木漏れ日がさしこむ時、
ふいに蝶が風に揺られ
木々から滴る水は
ぽたぽたと地面に円を描いていた。
水槽の中の海月のように、
ゆらゆらと揺れていた。
深呼吸をすると、その光景が
まるで無限の回廊のように、
迷路のように。
定まらないこころが
みることのできない出口を探していた。
口実を求め、この森の中に留まり続ける。
夜通し、森のなかを彷徨い歩き
皮膚は爛れ、血が流れ、それでも入り口を探し続けていた。
木々は深く
地に根をはり
それでもそのたくさんの樹木のなかで
音にならない声を聴いていた。
一滴の水銀をふいにおとして。
それから
傷ついた足を引きずりながら、
なんとか帰りつこうと、
乾いた足跡を残して
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