パス・スルー/ホロウ・シカエルボク
、意識的なものも、無意識的なものも―仰向けになったまま、とりあえず右腕を高く上げてみようと思った、肩関節のあたりで意識が遮断されている気がした、ゆっくりと力を込めながら少しずつ動かしてみると次第に持ち上がるようにはなったけれど、他人の腕を持って動かしているみたいな感覚だった、なんの意味もないように思えてすぐに下ろした、穏やかな川面を緩やかに走る遊覧船のような風がどこかから忍び込んでいた、それは寝ぼけた頭に、すべての物事には一定のリズムがあるのだと静かに語り掛けているような気がした…人生は霧のようなものだと思うことがある、ここにこうしている以外に存在は感じられない、曖昧な、あるいは、確かな記憶がいく
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