パス・スルー/ホロウ・シカエルボク
いつからか指先に付着していた錆色の凝固した血液は、なめてみると土にしか思えなかった、まだ数分しか経過していないのか、それとももう幾時間か経っているのか、いまはまるで判断することが出来なかった、空気は雨の後のように湿気を孕みながら上昇を続けていた、明るかったけれど、それがまだ早い時間のせいなのかそれとも室内の照明のせいなのか、やはりそれもまだ判断することが出来なかった、そもそもそれらの現実的な感覚は再びこの身体の中に戻って来るのだろうか?そんなことにすら確信が持てなかった、つまりその時点で、生きているとも死んでいるとも言えた、だけど、どこの誰がそんな確信を得ながら生きているだろう?誰だって同じだ、意
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)