幸せの満月/秋葉竹
救いもなく
生きて来た
夜に
みあげる夜空には
満月があった
なぁ〜んだ
救いは
ちゃんと夜空に形をもっていて
私のことを
ちゃ〜んと
みていてくれているじゃあないか
星は流れないけれども
ただ憧れているばかりではない
幼いころの
夢は燃えて灰になっても
今できた新しい夢が
ちいさくても息吹きはじめている
どちらが大切かなんて
決められないからきっと
今満天の星空に
一筋の涙みたいな夢が
流れているのかもしれない
救いもなく
生きて来たけれども
夜空に浮かぶ満月を
掬い上げてあげることを
これから眠るやさしい布団のなかで
みることができるのなら
それはもう
さくら色の靄にくるまれるような
とても幸せなことなのかもしれない
戻る 編 削 Point(1)