恋/
花形新次
きみがどう思っているかなんて
考えもしなかった
僕がどう思っているかを
伝えようとして
精一杯だった
もう少しだけ
やさしい人間だったなら
きみの言葉に
耳を傾けることができたなら
逆に
きみへの思いも通じただろうに
と今は振り返る
きみの俯いた横顔の
長い睫毛を
この頃よく思い出す
月や星や花よりも美しく
信じるに値する
唯一のものだった
もうすべて
済んでしまった
遠い夏の日のこと
グッドバイ、
そしてグッドバイ
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