戦争と戦争ごっこの話/ホロウ・シカエルボク
まだ明けぬ夜のことなど延々書き連ねたところで仕方がないのだ、日向のことを、簡潔な希望のようなものを綴らなければ誰もそれを読んでみようなどと思うはずがないと、誰に言うともなくひとりの若い男が初めての朗読会のように話していた、酒が入って気が大きくなっているらしかった、物書きたちのちょっとした集まりでのことだった、周囲の人間は彼の言葉にそれほど興味を抱いているようには見えなかったが、それでも彼は手応えを感じているらしかった、そして、それまで話していたようなことをこんこんと話し合える相手を探していた、俺はそいつからはかなり遠いところに居て、我関せずという気持ちを全身で表しながらひとりで飲んでいたのだが
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