浴室の夕焼け/秋葉竹
なにクラゲにでしょう
ネットに棲む
ソイツに
まるで刺されているようで
溺れ
そうに
浴槽にしな垂れています
どこかを刺されたのでしょう
小さな毒でも
致死量をもつ
まるで
君のなにげない言葉のように
鋭い痛みで
です
静かな陽射しが
浴室を新しい空気に変えるので
限りある意味が
わからないままで
溺れそうに
自由だけれど
スマホが手元にない恐怖は
清浄から逃げるみたいで
ホントは嫌なのです
この家を
かんたんに
引っ越しできればいいのだけれど
夏は涼しいこの家だから
海で泳ぐみたいに
くつろげるんだけれど
それでも違うのです
ずいぶんと振り返ってみても
無駄なものをみるみたいに
夕焼けをみるのは初めてのことなのです
あゝ、それにしても
百年後の世界をみてみたい
その
たった百年も
生きてゆけないのだろうけれど
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