音時計/プテラノドン
 
 まるで音符が吸い込まれるように―。事実、その場末の酒場で
 指を走らすピアニストの鍵盤からは、音符が飛び出して
 少年が手にしていた小さな壜、砂時計の形をしたそれに閉じ込められる。
 テーブルの側にいた酔っ払い店主がその壜を奪うと、高々と掲げた。
 「時間を聞きたいと思った事はないかい?
 叶えてやるよ!この音時計が!」
 声を張り上げる店主のツバが、少年の顔に飛び散った。「おじさん、汚いよ!」
 にぎやかだった店内が一層どよめき立つ。
 「悪いな。じゃあひとつお前に、皆にこれを聞かせる役目をやらせてやる」
 それから店主は少年に壜を手渡し、―ひっくり返すんだと言った。
 す
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