ショートカット/キリコ
 
感電間近だ もう少しなんだ 送電塔から あの娘の家まで
たゆたゆしていた ケーブルたちも 近くで見たなら 意外と無骨だ

この川の先を ぼくらは知らない あの娘も知らない 、ことすら知らない
ぼくらもいつかは 街など忘れて つぎの街へ行き  また街に戻る 


ぼくは夏風邪 少しこじらせて  鼻がつまって しんどくなってて
いつも飲んでる サイダー不味いし いまはついでに 目ばちこなってる
散々だけど はっきりしている  ぼくの頭は すっきりしている
ストローの端 ガジガジしている あの娘の犬歯 想えばうずいた


この川の先を 知らないぼくらは 知らないからこそ 無心に
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