炎天下と青空/末下りょう
 

─おーい夏夫くん──


青空の炎天下


青空の炎天下


青空の炎天下



夏夫くんのこぶしが水風船みたいにパチンと割れた


ポン をなくしたグーチョキパーは真夏の路上を流れていき 


水飛沫を浴びたぼくらはそれぞれの体内の水分にゆらめいていた 青々と


一滴の血もなく


夏夫くんは厳格な真夏のデルタを打ち破り 湯を沸かす


涼しげに 灼熱の路上に溶けながら





─食物──


「 牡蠣とリンゴは神の食物、なるべく手を加えるな 」


食べ物はどれも神の恵み自然の恵みだろうけど、一流の美食家
[次のページ]
戻る   Point(4)