狂気の沙汰ほどおもしろい/秋葉竹
 




一夜すぎ油の匂いのする聖水


敵を噛む利口な顔した犬と棲む


泣きそうな君とバス停まで歩く


そのうしろ姿でわかる濡れメガネ


山頭火さみしい人に頭突きする


嗤うかね騙された夜の間抜けづら


そして今イケナイ魔法にすがるかね


柔らかな風に巻かれてみだれ髪


渓谷の吊り橋からの逃避行


新しい仏が刻まれている岩壁


しな垂れる君の吐息が耳を舐め


もう夢をみなくていいよ麦わら帽


いたいけな狂気の沙汰ほどおもしろい







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