はじまりに/坂本瞳子
 
脱げそうな靴下が
いつまでたっても脱げなくて
その中途半端な布が
土踏まずの辺りで
心地良いことこの上なく
もう少しこのままにしておこうと
いやいっそ脱いでしまいたいと
そんなことを感じながら
迎えた朝の充足感が
堪らなくて
今日が始まる
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