光臨/あらい
 
山頂の光と影と馨りに届かぬ蛍と傅カシズく、
まるで紙吹雪の鏡写しのような
奇病、らしさ不束にも視線を預ける

薄化粧の貝塚を通り過ぎ 
伝書鳩の半分の血を 
白装束とする臆病な子猫の、
鳥葬の、

さんざくるめく 幸の鳥に跨がりここまで。

赧アカらめる寒風を握る刀傷の
千鳥足の宵とするならば。白雲上、
雀の涙に気づかない水銀燈は今夜も
無意味に爆ぜると仰せになる

在る窖の貉に継ぐ、火の粉は
真実と亡骸を浴びせかけ、毒されたあと

蛇腹宝石箱に刷り込まれ嘔吐いた、
台本の一部は穢れているが
彩管を揮るうは虚妄の沙汰だが
また尋ね回る照度に漆喰を重ねて
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