詩の日めくり 二〇二〇年三月一日─三十一日/田中宏輔
 
があった。地下一階の広いスペースのジャズ喫茶だった。学生時代には、毎日のように通っていた。友だちといっしょに、よく待ち合わせをした。大きな白いコーヒーカップでホットを飲んでいた。店は客のリクエストにも応えてくれた。学生時代には知らなかったのだけれど、いまから40年ほどむかしのことだよ。携帯電話もパソコンもなかった時代だ。出会い系のアプリがいくつもある。ある日、ビッグボーイのことがゲイ雑誌の小説に載っているのを見つけた。そうか。それで、不釣り合いなふたり組の男がビッグボーイにいることがあったのだと思った。体育会系の学生らしき青年と、中年の背広姿。当時は、ゲイとゲイが出会うには、ゲイバーに行くか、発展
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