残雪の朝に降る霧雨に似た雨/山人
 
り決めたなにか。そこになんの脈絡も根拠もない常識など、山ほど存在するが、そんなことに目くじらを立ててみても心は晴れない。
 大雪であったはずの今年の春は、夏日のような暑さで一気に雪は大量に消失した。それでもあたりは未だ雪の白い面積が勝っている。閉鎖されたスキー場のゲレンデにはところどころ茶色い土の剥げが発生し始めている。雪の柔らかいところはすぐ融け、硬い部分は融けにくい。それにより、スプーンで抉ったような「スプーンカット」と呼ばれる形状が現れる時期である。今時分、そこをスニーカーで歩くことも容易だ。
 雪の傾斜を登り切ると再び車道に出、アスファルトとなる。地元建設業者は車道の除雪で噴きあげられ
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