書架で俘れる、取り留めない主眼  /あらい
 
撃たれた奥付、
走り書きの蜈蚣のヒヤリングと偲び
深く浮かんだ山百合の生き写しに
豪快で高尚な片蔭の締まり
陸地の裏側に史実に基づいた夕顔の因果律を
雑然に言語化している 空蝉は 
怖気ているように、うじうじとなるべく
淡白に斬殺す
薄闇格子に見劣りした貧弱な役者を経(た)たせ
隔離された加護に留まる取引を、
乱雲と沼地に吸い込み
おためごかしの器具に宛がい
ああ やらかいピンクに灼き焦がれたあたり
蚕蛾のcapsuleと致す
二月(ふたつき)一ダースの酸鼻、
浅い月の幼馴染の泪袋に、
山苣(エゴ)の花が忘れられずに
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