歌わなければ良かったのに/秋葉竹
 
くて
嘘つきは、卑怯な臆病ものだという
モノクロの世界の壁の前にたたずみ、
そんなことも、
知らずに、
歌を歌ってしまった
それが一番知らずにいればよかった
道を踏み外した本当の失敗だと
知ってしまったあとでも、
私の正しさを信じることができた、
なけなしの、奇跡。

夜、大声で泣き叫んでしまった、
ずいぶんむかしの、こどものころのように。
なにものも、得られなかった、
だれからも、愛されなかった、
全てを終わらせる、
嵐の夜は。

泣いて、なにもかもを、
終わらせようと、
していた。














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