忘却の彼方/
坂本瞳子
忘却の彼方へ
なんてそんな言葉を言ってみたかった
それだけのことだ
そんなところへ行ってみたいとも思う
どこにあるのかなんてまったく想像がつかない
なにもかも忘れてしまう
そんなことだろうか
そしたらなにが残るんだろうか
自らを認識できるのだろうか
そんなこと考えるとむしろ不安が大きくなる
しかも考えてみるだけで結局はなにもしないんだから
意気地なしめ
忘却だなんて格好つけた言葉を使ってみても
ただそれだけのこと
たったそれだけのことなんだ
戻る
編
削
Point
(1)