月のてらす君の泣き声/秋葉竹
その泣き声に驚いて、振り返ると
君はその夜も眠りながら泣いていた
生きることが辛い正しさが
瞳のはしから耐えきれず
冷たい透明な水になって
ひとすじツーって流れてしまったんだね
紅を落とした唇が、吐息といっしょに漏らすのは
しあわせという嘘をついてしまった薄い笑い
それで、自分が嘘つきだから、
いつでも、謝って、眠りながら、泣いている
うまれてこなければよかったんだなんて
死んでも言っちゃいけないえいえんの約束
生きつづけることに
溺れてしまったという
月の声なんて聴こえない夜だから
(愛)、君に触れてしまっても、よい?
戻る 編 削 Point(1)