詩の日めくり 二〇一九年十二月一日─三十一日/田中宏輔
 
二〇一九年十二月一日 「日付のないメモ」


 飛び降り自殺する直前に、窓の外から覗く、さまざまな部屋のなかにいる人間のことを書くというのはどうか。トラックにひかれそうになったときの時間感覚のことを思い出して思いついたのだが。


二〇一九年十二月二日 「日付のないメモ」


 中学のときに、友だちの家に遊びに行ったのだが、友だちのお母さんが、友だちに、お父さんが浮気をして帰ってこないと言ったときに、友だちの顔がそれまで見たことのないような顔をしてたことがショックだった。瞬時に魂が抜けてゆくように表情がなくなっていったのだった。


二〇一九年十二月三日 「西原真奈美さん」
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