詩の日めくり 二〇一九年十一月一日─三十一日/田中宏輔
 
リの小説には、そこかしこにユーモアがある。ユーモアこそ、知性のある証しだと思ってきた。皮肉には知性がない。皮肉は、愚か者が口にすることのできる唯一の武器だ。あまり威力がないのだが。ユーモアが愚か者によって口にされるのはまだ見たことがない。愚か者が口にする言葉をユーモアに解することはあっても。


二〇一九年十一月二十一日 「日付のないメモ」


 人格も、人柄も、その言葉も、その行動も、その微笑みも、その悲しみをたたえた瞳も、仮初めのもの、ただひとときのものに過ぎないというのに、なにをそんなに気にかけることがあるのだろうか。


二〇一九年十一月二十二日 「日付のないメモ」

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