風吹く街の赤い月を/秋葉竹
 


喧騒の
夜の街に溺れる私の
すがりたい真っ白な想いがある
けれど息つぎが下手くそで
凍った心を守ることさえできない

むかし大好きなものを棄てて
冷たい目を手に入れたこともある

そうね、

その目で
赤い月を見上げたのは
心を凍らせるのに都合のいい月だったから

どうしてだろう?

陽気な音楽が流れてくる
優しい空間で私のうしろにいる小さな
少女のホムラ
ひとりじぶんの中を覗きこんでいる

でもね、
そんなバカな悲しみって
ないよね?

私がみたのは
『どうせ生きることはひとり』が
たったひとりで
しなやかに踊りながらもらした

[次のページ]
戻る   Point(2)