春の余白/ミナト 螢
 
北風で飛んで行った夢が
宛名もないのに舞い込んで来る

柔らかくなった空気みたいに
両腕の中で泳がせて

諦めたことを
思い出しながら

春の隣で
制服を脱いでも
心は青く

低温火傷のように
生まれ続ける痛みを
花びらは見過ごしても

その影を
どうか踏まないで
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