「万華鏡」  【やったよ!100行連詩】/ベンジャミン
 
手にとると
(映っているのはもしかしたら)
鏡は疑問と反射を繰り返し
追い詰められたあなたを美しく見せようとするけれど
声は繰り返す
閉じ込められた部屋の中で木霊する
振動するガラスに合わせて揺れる光
真実は見つけるまでもなくただそこに在る

よぎった色を探す
その色が思い出せないことに気づく
辿る小石はもうなくて
向きの違う足跡に惑わされてしまう
大きな足跡のそばに小さなもうひとつの
(それは足跡ではなかった)
ひっかくような傷を残して
あなたの手のひらに浮かび上がるその
空の色にも似た静かな青さは
あなたを救おうとしているのかもしれない

それは少しだけ
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