天使を抱きしめてあげることもできないなんて/秋葉竹
夕陽が沈むときの寂しさを
木枯しが吹く歩道橋で立ち止まり
みた
のは、今日がこの街を
出てゆく冬だから?
小雪も、降らない
つまびらかにされた
ただの爛れた愛の部屋を
振り返ってしまい
もう、
嫌なのに、
想い出すのは、
あんなにあたたかい想い出ばかりなのは
なぜ?
あの部屋の本棚の上に飾ってた
あの恐竜になら、食べられてもいい
歩いている
路地裏のネオンの看板のそばで
じぶんの沈んだ目が前を向いていない
のを、
知る、
夜空にいる天使をみあげて
手を振ってみる
ふりをする。
裸の天使と、抱き合いたい
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