眼をやられた男/壮佑
街を這いずり回る
薄汚れた思想を
ひっくり返せば
苔の付いた鰐の腹を晒し
蹴り上げれば
貧弱な翼で羽ばたき
裏通りをヨタヨタ低空飛行した後
暗い巣の奥に引っ込む
奴らはウザウザと生き
ウザウザと死ぬ
ヒトの顔貌は
絶えず剥がされ
失くした言葉を求めて
ざらざらの舌で
風のスジを舐め回しても
絡み付いて来るのは
饐えた思想の臭いばかり
奴らの巣の中を手探りしても
卵は生ゴミに出した後だ
街外れのゴミ集積場で
奴らの屍骸と
卵で膨らんだゴミ袋を漁る
このバカ犬がぁ!
と声を荒げて
野良犬との大笑いな
争奪戦が始まる
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