仮名の奇跡/st
 
使うようになっていったらしい

それではなぜ
仮名が偉大なのかを

におい

というひらがなを例にして
証明してみたい

においを漢字で書くと

臭い
匂い

という二通りの
意味が異なるものになってしまう

即ち
臭いとは不快なにおいのことを言い
匂いとはよいにおいのことを言う

においを漢字にすると
より明確なものになるといえるが

ここで問題なのは
よいにおいや不快なにおいが
人によって変わるということ

タバコのにおいは
愛煙家にはよい匂いでも
嫌煙家にはいやな臭いとなる

従って
タバコのにおいは

匂いとすることも
臭いとすることもできない

なんて
奇妙なことになる

こんな時は
漢字ではなく仮名のにおいとすれば

すべての人に対して
通ずるようになる

もともと
漢字から発生した仮名が


この日本の国で生まれ


より使い勝手のよいものになったのは


まさに奇跡としかいいようがない






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