街の夜/はだいろ
 
私は、私の、何かが、間違っている

でも間違っている、ということは果たして、
本当に間違っているのだろうか
正しい、ということが果たして、
本当に正しいのだろうか、
と問うのと同じくらいに、私はいま、
戸惑いつづける


間違っていることそのものが、正しいのではないのだろうか、
もしそうだとしたら
正しいということそのものが、間違っているのではないのだろうか
もしそうだとしたら
今日私が抱いた人よ
あなたの死をいつか私が抱きしめる、
ということそのものが、私に、できるのだろうか


遠い砂漠の、私の知らない一日と
深い海底の、私の知らない一日と
今日の私の、私の耐えざる一日とが
ついに重なることなく、今過ぎ去っていくらしいとしたら、
私は、間違いなく、間違っている
そして間違っているということ、そのものだけが、
街の夜に、
正しく私の影をかたちづくっている






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