パイプライン/末下りょう
冷たく未熟な言葉でなら 孤独は演算できる
あまりにあなたという人が数の埒外からはじまり 繰り返す落陽が朝焼けを見つけに来るために ( わたし )から始まる文法は両生類の戦争を回避しえない )
( わたしたちへの道はひとまず生理学によってデッサンされ栄養学によって配色され )
何処にも繋がっていないパイプラインに 耳をあて 覗く
ことに明け暮れて
あなたたちの声がきこえてくる日を待つ
( 覚悟が足りないときにかぎって断言する
ひとり
馬鹿を論破することは出来ない
誰
ひとり )
かたわれを探し歩いた夜の 水のない浴槽で 膝を抱え蹲る 犬か猫 鳥か虫 風か雨か雷のような奇声が初めて耳にしたわたしの素朴な囁きで
それをとても冷静に聞いた夜の
罵声が柔らかいパイプラインに響き返す
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