気持ちが良かった/竜門勇気
 

バスに乗る、中に滝がある
気持ちが良かった
気持ちが良かった
さよならをたくさん知った
ぼくは、さよならをたくさん知って、気持ちが良かった

椅子の上、窓を閉めなかった
爪を噛んでいた
爪を噛んでいた
片目で時計を読んでいた
ぼくは、さよならからどれだけ遠くなったかわかって、気持ちが良かった
さよならは、墓標ではない
なにかの途中でもない
始まりでも、終わりでも、炭酸が入った飲み物でも、ない
ないから窓を閉めなかった
腐った屋根をいくつも見た
初めて猫の死体をゆっくり眺めていた、あの日の風景を思い浮かべていた

言葉がある、人がいる
目が思い通りにならなか
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