重度のシンコペーション/ホロウ・シカエルボク
干乾びた野良犬の死骸と、ひび割れた路面の暗示的な形状、捻れて消える泥酔した下層階級者の夢があとに残すものは、ショー・ウィンドウの微かな脂の染み、カウント・アウトのような潰れたカフェのテントが風に煽られて立てるノイズ、二月は寝惚け眼みたいな、澱んだ色に終始塗り潰されて…喉元に張り付いたカフェインは思考をアンバランスに改変する、意志と意地のすれ違い、取り残される言葉の恨み言が首筋に出来る小さな蕁麻疹に化ける、窓ガラスの霞の中に予言が隠されている、道端のシンガーはディランを歌っている、だけど、ねえ、時代なんてもう変わることはない、人間なんてもう喋る能面に過ぎない、最小公倍数の生命、プログラムの範疇だ
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