ムウンストラック??詩のスケッチブックから/ならぢゅん(矮猫亭)
ら
手の鳴る方へ
私を食べて下さい
きれいに
私を食べて下さい
(前掲「第2.2章」部分)
左側のページの下から男の眼がのぞいている
その眼を満たし今にもあふれ出しそうな恐怖が
(なにを怯えているのだろう)
私をいらだたせる、激しく、冷たく
誰かが石を投げてくるように思えるので
表通りは避けて歩くのです
こうしてひとり、いきている。
(前掲「最終章」全文)
ムウンストラック・三角みづ紀
月(のような裸の尻)を叩かれた人は
いらだちの野茨の野に草隠れてゆく
その詩をいくど読み返しても
血をにじませた白い皮膚を見失うばかりだ
ページの向こうに広がる暗い荒れ野に
怯えた瞳が冴え冴えと吊り下げられている
引用:三角みづ紀.ムウンストラック小詩集.現代詩手帖.2005年4月号
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