コウモリとひきこもり/末下りょう
 
夕暮れのざらつく人恋しさに飛び立つ平らなコウモリ


あまりあてにせずに
待つはずの
きみ

裸足の猫は垣根に消えた

せんべい布団に横たわり
断雲を眺め
さまようなにかの羽が最初に聞いた肉声になる


茹だる夏に
かたくずれしたキャラメルを一粒 虫歯だらけの口に放り込み咲き乱れる花びらは雷
一閃の


すべての花びらは爆発
へんてこなかなしみ さびしみ
ヤドカリ

見かけとちがう声を探して
見かけとちがう影を燃やして
掛け布団と敷き布団のはざまで迷子になり 夕暮れに叱られる一つの顔は二つの心臓になって
言葉を探している


(まに あっ
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