今になってあんな夢をみるなんて/秋葉竹
 


彼女に逢いたくて
ずっと寝ていなくて

花丸はいちばん大事な夜にだけ咲かせて
いつまでも忘れない、あの冬休み

浮き雲の稜線をけっして見誤らず
綿飴みたいなんて言うのは我慢する
ぽっかり、ぽかぽか、なんて顔してるの?

蟋蟀の遺骸が転がっている家の庭
だからこそ夜が怖いので
ずれて世界と共生している

いつも眠たくてくだらないあんな風な夢をみる

湖のそばの小屋で育った

なにからも自由だったが不便な暮らし

読み飽きられた古本の階段
書きすてられた新しい刹那
そして抱かれなかった満月

真実の純粋な氷の世界を夢にみた

使い古された望郷のありきたりな夜

白い、青い、三日月が傾いて
慰めを歌ってくれている、光の子守唄

惹かれたのは天使たちが戯れる星空

どこへも行こうとしない

ことが幸せだと知っている知性は正しいね
泣きたいくらい、正しいね

世界の冬休みはすぐに過ぎ去って
僕は彼女にまた逢える











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