眼鏡をかけた彼の人は/坂本瞳子
 
眼鏡越しのその眼差しは
やさしそうにも
悲しそうにも見えて
決して本音を見せてはくれないのだと
寂しくなる

意地悪をしてみたら
意地悪を仕返してくれるだろうか
眼鏡を取り上げたら
むきになって取り返そうとするだろうか
私はよっぽど性根が悪いらしい

分かったふりをする気はないのだけれど
寄り添いたいと思っている
いいえ
寄り添って欲しいというのが正確だ

思っているだけで行動が伴わないから
気持ちが伝わらないのだろう
だけど言葉にするとそれはとても嘘のようで
誠実さを求めて今日も彷徨っている
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