ダンデライオン/蝶番 灯
無防備なままではもう会えない気がしたから
僕は傘を広げ コンクリートの割れ目に柄を引っ掛けて
黄色の花を覆った
結局僕は 暗くなるまで立ちすくんでいるだけだった
そのまま朝の光は差した
コンクリートの中で咲く 黄色の花が僕を見上げた
欠けた葉と傾いた茎が濡れていた
もうキレイな花では無かったし
傘はもうその回りには無かったが
僕は気にも留めず
「大丈夫」 それだけ思いまた歩き出した
なあダンデライオン ダンデライオン
黄ばんで欠けた葉も
傾いて乾いた茎も
その黄色い立派なたてがみも
雨つゆもみんなキレイさ
いつみても どんな姿でも
お前はいつだってキレイさ
なあ ダンデライオン ダンデライオン・・・
今日も
金色の花は
僕を見上げる
まるで
僕よりずっと 誇らしげに
ダンデライオン
戻る 編 削 Point(2)