夜明け/
はるな
君がいた夜は
物語のように遠くなってしまって
いくつものビルが建て替わった
なつかしい詩を読み、
ぬるい水を飲み
二足しかない靴を交互に履く
平和な日記を過すうちに
こんなところまで来てしまった
物語が ありふれていればいるほど
記憶や 時間が簡単に乗り
感傷で汚れていくさまは
所有のようで嬉しかった
詩たちは
かつての自分を救ったが
この夜を止めない
それどころか
かんぺきな暗やみに光を投げ
夜明け、また、
君を遠くに運んでいく
戻る
編
削
Point
(4)