夜明け/はるな
 

君がいた夜は
物語のように遠くなってしまって
いくつものビルが建て替わった

なつかしい詩を読み、
ぬるい水を飲み
二足しかない靴を交互に履く
平和な日記を過すうちに
こんなところまで来てしまった

物語が ありふれていればいるほど
記憶や 時間が簡単に乗り
感傷で汚れていくさまは
所有のようで嬉しかった

詩たちは
かつての自分を救ったが
この夜を止めない
それどころか
かんぺきな暗やみに光を投げ
夜明け、また、
君を遠くに運んでいく




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