チヨコレート/坂本瞳子
間食なんてほとんどしないのに
今夜は無性にチョコレートが食べたい
なにがあったわけでもないのに
ただただ板チョコを貪りたい
こんな気持ちなったのは初めてで
どうしたらいいのかも分からないほど
無性にチョコが食べたくてしょうがない
そしてコンビニへ出かけて
板チョコを数枚買ってくる
一枚では足りないかもしれないから
複数枚左手でつかめるだけを買ってきた
そして一枚目の包み紙を剥ぎ取って
かぶりつく茶色い板は甘く噛みごたえよく
貪ることにも満足を覚える
そしてやはりペロリと平らげた一枚では事足りず
二枚目三枚目と手が伸びる
ガリガリと噛み砕いて胃の中へ送る
心が満たされていくのと同時に
頭に血が上り頬が紅潮するのが自分でも分かる
四枚目五枚目とまだまだいける
夜の闇が深まるにつれて
チョコレートへの欲望も増幅する様相で
尽きることのないこの欲望は
一体どこからやってきたのかと
不思議に思いさえするけれど
案ずることなかれ
夜明けはまだ遠いから
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