ひとつしか照らさない灯りを手に持って/ホロウ・シカエルボク
ひとつしか照らさない灯りを手に持って
人通りの途絶えた通りを歩いている
日にちの変化や、年号の変化
様々な冠が世界を駆け巡るけれど
実際のところ、それはただの節目に過ぎなくて
ひとつしか照らさない灯りは
せいぜい何かに躓かないで済むだけ
それでも
ないよりはきっと幾分かましだけど
でも
安楽死のような一生を歩くことだけが人の誇りだと
そんな安易さを選ぶなら生き続ける意味もないだろう
巨大な意識に寄り添う人たち
そう、まるで戦時中みたいに
そこに居れば楽だし
そこに居れば安全
そこに居ればなにかと便宜を図ってもらえる
ひとつしかない灯りは
そんなものを絶対に照
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