埃/
坂本瞳子
少しの埃が気になって拭き取ると
さらに向こうの埃も気になって
通路の埃も
隣の部屋の埃も
普段開けることのない襖を開けては
その奥の埃も気になって
普段は目を瞑ってしまう窓の桟や
箪笥の裏側まで気になってしまって
電灯の傘まで外してみたりして
埃を見つけてはそれを拭き取るという行為に
むしろ快感を覚え
もうなんとも止められないでいる
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