窓霜/あらい
冷たく、この部屋は陽だまりに過ぎ征く
ビルの谷間から前貸しする せせこましい老若男女の執着心、
霧の中に濛々と人影が水面下に寄せて
荷台に転がる 柿と布の面が擦れて、奇病を作り出していた
おのれは
あなたの
記憶の一部に過ぎない。
熔けた暦の端を床に敷いて、指ですくう
さながら絵のようだと書見を称する
化石のひらはあなたのもので、私はどこ吹く風になる、
あたりを見回して、やはり 我が身なのですか
長い参道の向こうには、きっと明日が見えるはずで
これらを掠り、人工の川とうたえば
窓にうつる僕は居間で首を吊り、
ひとつの扉は頑として
いきもしない
ただ座して亘る
キミは今、突然咲くであろう
枝垂れ桜の老墨のことを考えていたのだろうが
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