ある夏の日/こしごえ
梅雨が明けた
夏の
青空に入道雲が
わくわくとしている。
空気の匂いが
夏を知らせる
夏を歌う私の魂
とくんとくんとくんと……
脈打つ
どこかで今
雨は降っている。私の
悲しみは今
愛に帰った
悲しみは再び私の
こころへ旅に出る
けれど最後にはやはり
悲しみは愛に帰るのよ
と私の小鬼は光る風にささやく
「全ては愛から生まれた」という
青空の声を聴いて
小鬼は黙礼する。
……くんとくんとくんとくんと
悲しみはそして、
沈黙した青空と共に人知れず
ほほ笑む
林の陰の小径へすぅと
鬼やんまは 消えていった
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