運動 それから/ふるる
 
かまぼこのカーブはいつまで美しいだろうか

遠くに霞んでいるトンネルの入り口
小雨が降りはじめ暗い匂いがする 
黒く濡れた何かが静かに入ってくる

そんな車からさっと降りた
姉さんは真っ白い日傘をさし
もう夏なのね、ねえ笑ってよと笑う

こうしてこだまする懐かしい場所さえあれば奏でられる
色々な音色が出るという笛を片手に
サーカスの熊使いよりも上手に

やれやれと肩までつかっていた秘境の温泉
湯気ではっきりとは見えないけれど
もわもわした気分はすっきりと晴れて

こんなにもふわふわに乾いた綿ポリ レーヨン キュプラ
反抗期だからなかなか喋らないし
夕暮れ時に
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