2021/12/15/雨宮吾子
 
冬と夜はさびしいものだから我慢をするんだよ
誰のものとも分からない言葉が私の中で反響します
どうしてだか私の心に浮かぶのは
北海道やそれに近い景色ではなくて
東欧の冬枯れの景色です
血で贖われた大地を空想するのです
西欧のポップカルチャーも北米の穀物も癒やすことのできないその傷を
何故かしら極東に住む私が感じるのです
あなやあなや
私は美しいヴェニスを空想したかった
その屋根裏に住む鼠の醜ささえも知らない私が
よそからもたらされた悲しみを感じながら
そよと涙を流します
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