彼方肆/あらい
 
引く 眺めはまたソシアリズムの蟠り、
どれも豊満だった、ローレライがうたい 雷雲を刺した陸に
足だけを残して消えた、あぶくだけが鮮明なひと

入れ替わる山吹色の陽気は振動する、街となる繭は明るみに出す、

誘導妄想
毎夜毎夜読み聞かせられた 白檀の婚式に小股でさすらう
小動物の足跡は毎日とちがう。というのに
それを履いて 月に照らされた未知を往くとき
感嘆を及ぼす自傷エトランゼ、先端を行く旧臘のくねり途、
待ち針の外れた手傘に、蝉しぐれが場所を空ける

旧記の今生を反芻する振恤の限りに、
桐の箱の中で羽化しようとする、エメラルドの、ひとかけ。
まばゆく思いはばたくとき
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