欠勤/本田憲嵩
 
窮屈な革靴と黒い靴下を僕は脱ぎ捨てる。白い砂浜で白い素足になる欠勤。満ち溢れた創造性の海。喜ばしい陽の光と爽やかな風を肌いっぱいに浴びて、白い鴎の方向性。ワタシは白いワンピースを着た少女となって、平日の閑散としたショッピングモールへと赴く。


映画館の闇の中へとワタシは失踪している(いや、この場合、僕というべきか)。会社、社会、家族というシステムに対して、すくなくとも今日は死んでいたい。でも、本当は僕は僕という存在、生に対して、今は失踪していたいのかも。スクリーンだけが明かりの闇のなかで、これが、解けている、と謂うことなのか、すなわち死なのか、などと取り留めのないことを考えたりしている。日
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