影響く/水宮うみ
みな孤独なものだと思うと痛みをすこし許せる気がした。
アクセントとして、アクセサリーとして、悪は正義の対義語として。
自らの住むフィクションを書くことはできても、ノンフィクションは書けない。
トボトボとほとほと途方にくれる歩道。ほんとほとんどトホホな徒歩だ。
古代から個体を交代して運ぶ誇大広告は広大だった。
出会うものすべてを懐かしく思う。夕陽に残る家々の影。
トリプルミーニングで高得点を出すより、きみの笑う意味を書きたい。
あなたが存在していた10秒をおれはときどき夢に見ている。
グラタンをクラクラするくらい食らい、暗いくらしに灯るグラタン。
透明な存在が好き。透明で目には見えないところが超好き。
脳裏をよぎる影はたくさんの夜を暗い空っぽにしていった。
「生きてればいいことある」ときみに言う。あなたのうそは傑作だったよ。
何も見えてはいない目で何かを視ているその瞳(め)のひかりをみていた。
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