バールのようなもの/がらんどう
ろうか。「1バース=2.7本」で計算すれば、54本塁打という記録は「20バース」ということになる。だが、「1バース=2.7本」というのはあくまで偶発的に形成された54本塁打という記録から遡航する形で導き出されたものであり、「バース」の本質を反映したものではない。ここにおいて「バース」の「バール性」は宙づりにされるわけであり、「バース」は「仮-バール性」といえるような性質を帯びることとなる。この「仮-バール性」に「バールのようなもの」の根本を見る向きもあるようだが、「仮-バール性」はあくまでも「バールのようなもの-のようなもの」という形での「バール性」への接近でしかない。
「非-バール」と「バール」の接する境界に「バールのようなもの」は立ち現れる。つまり「バールのようなもの-ではないもの」と「非-バールのようなもの」がすれ違う中で可能となる「非-バール-ではないもの」という「バールの二重否定」こそが「バールのようなもの」の正体であり、「バール」の「バール性」それ自体の表れなのである。
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